ACPI の基礎知識

2013年4月27日 更新


 Windows98、WindowsMe、Windows2000、WindowsXP、WindowsVista、Windows7、Windows8では電源管理にACPI(Advanced Configuration and Power Interface)という規格を採用しています。

 Windows95、WindowsNT4.0まではAPMという規格が電源を管理し、BIOSで全て管理していました。
 しかしACPIではOSが電源を管理してする方法に変更されました。そのためまだ簡単にとはいきませんが、それまで各メーカーの独自規格で実現していたサスペンドやハイバネーション等がデスクトップ機でもOSの機能として出来るようになり、WindowsXPの普及によりハイバネーションはデスクトップ機でほぼ出来るようになりました。また東芝を筆頭に各メーカーのノートパソコンでもACPIが採用されつつあります。中でも東芝のACPIツールは非常に細かく設定出来るので、素晴らしい内容です。
 Windows98でもSEまではAPMでインストールするのが主流でしたが、マザーボードのBIOSがほぼACPI対応を完了したことから、WindowsMeやWindows2000、WindowsXP、WindowsVistaではACPIでインストールするのが基本となりました。
 またWindowsXP以後ではACPIが2.0に進化し、更に細かい制御が可能になりました。

 ここではこのACPIについて研究していきます。ACPI の機能の中からSTR(Suspend To RAM)、STD(Suspend To Disk:ハイバネーション)、WOL(WakeOnLAN)等についても別の研究室でまとめております。是非御覧ください。
1.ACPI/OnNowについて
2.ACPIのステートについて
3.ACPIの状態
4.ACPIモードでOSをSetup する
 (1) Windows98(SE)の場合
 (2) Windows2000の場合
 (3) WindowsMeの場合
 (4) WindowsXP, Vista、7の場合
 (5) BIOS Setupでの注意
5.ACPI Suspend To DISK動作失敗例(古いネタですが)
6.周辺機器別ACPI対応機器のご紹介(情報が古めです)
 詳しい情報はSTR・STD対応機器ページを御覧ください。

1.ACPI/OnNowについて

 Windows95時代にノートパソコンに装備されていたような、メーカー独自の電源管理機能を、デスクトップでも実現するために、ソフトウェアやコントロールパネルについても共通のインターフェイスをOS上に持つところを目指したものです。これを用いると細かい電源管理が可能になります。

2.ACPIの各ステートについて

ステート PCの動作状態 CPUの動作状態 電流の消費
G3 機械的に完全に電源断 停止 ゼロ
G0・S0 通常の運用状態。 フル〜最小 最大
G1・S1 スタンバイ(離席状態)。 停止 30W以内
G1・S2 OSサポートによるサスペンド。 停止 非常に少ない
G1・S3 ハードウェアサポートによる Suspend To DRAM
(スリープ)
停止 非常に少ない
G1・S4 BIOS BIOSによるハイバネーション 停止 ほぼゼロ
G1・S4 OSによるハイバネーション(休止状態) 停止 ほぼゼロ
G2・S5 ソフトオフ 停止 ほぼゼロ
 理論は上記のとおりですが、実際には次のものを覚えれば問題ありません。

・S0 動作中。通常の運用状態。

・S1 スタンバイ。VGA信号はオフ、CPUはパワーダウン、電源とマザーボードによってはファンもオフ。他は動作中。マウスを動かす等のトリガーですぐにVGA信号がオンになり、CPUもオンになって復帰する。離席状態という用語で書かれていることもある。

・S3 サスペンド又はスリープとい呼ばれる。作業内容をメモリに書き込み、メモリへの通電と再起動に必要な電流のみ流れる。電源ボタンを押すと、メモリから作業内容を読み込んで復帰する。メモリの容量にも依るが、通常は数秒で復帰する。

・S4 ハイバネーション(休止状態)。作業内容をハードディスクに書き込み、再起動に必要な電流のみ流れる。メモリには通電しない。電気消費量はシャットダウンと一緒。復帰時はBIOSの読み込みからスタートする。メモリの容量が大きいと、それだけ移行や復帰に時間がかかるが、電気代を気にする向きにはオススメ。但しSSDの場合書き込みが増えるので、寿命が短くなる可能性がある。

・S5 シャットダウン。完全な電源断。電源投入に必要な電流のみ流れる。

 またC-State Techについて、簡単にまとめておきます。2013年のHaswell対応。
ステート CPUの動作状態
C0 通常動作状態
C1 Halt状態:CPUコアへのクロック供給停止
C2 クロック停止:CPUコアとバスへのクロック供給停止
C3 Deep Sleep:クロック生成器の動作停止
C4 Deeper Sleep:CPUへの供給電圧を低減
C5 C4に戻さないようにする。
C6 CPU内部のL2キャッシュまでフラッシュ。
C7 LLキャッシュまでフラッシュ。
C8 100MHzベースクロック完全停止で、大体24MHzクリティカルクロックが供給される。
C9 Vccinが0Vに。外部電圧レギュレータはON。
C10 外部電圧レギュレータもOFF。
【備考】
 PC99では、S3ステートのサポートが必須になっています。S4はオプションです。
 WindowsMe以後はS4をOS側でサポートしています。
 またS5ステートを使って、ModemRingOnやWakeOnLANを行います。
 電流の消費状態ですが、5Vと3.3Vのメイン電源は、ACPI のS0〜S2までのSleep State以外はオフになります。3.3/5V DualはS0以外は供給電流が制限されます。5V Dual はS4以後では電源の消費はほぼゼロとなっていますが、例えばUSBなどはこれが通電された状態になっています。S5のソフトオフでも電流の消費は電源の再投入を行う分だけ通電されています。マザーボード上のLEDが点灯したままのものがあると思いますが、それが理由です。

3.ACPIの現状

 まずマザーボードは、現在販売されている製品はハードウエア的にACPIの設計に準拠しています。BIOSもACPI BIOSを搭載し、2012年からは更に深化したEFIに移行しています。

 Windows95 Ver2.0からACPIに対応し、まずサスペンド(S3)に対応しました。
 続けてWindows2000でハイバネーション(S4)に正式対応しました。
 WindowsMeもハイバネーション(S4)に対応しました。動作が怪しかったですが。
 WindowsXPではACPIのバージョンが2.0となり、更に機能が強化されました。勿論対応しているハードウェア上でないと動作しませんが、対応していれば完璧な動作が期待出来ます。このハイバネーションはAPM時代の各メーカー独自の対応だった時のハイバネーションに比べれば動作が非常に高速で、20秒足らずで復帰出来ることが多いようです。これならSTR(S3)に対応していなくても実用になります。WindowsXPの場合、BIOSや周辺機器もACPI2.0に対応していれば10秒前後での復帰も可能です。
 WindowsVistaではOS標準でスタンバイで終了するようになりました。ACPIが強化されて、気軽にパソコンの電源が入れられるようになりました。またテレパソも増えてきて、パソコンでテレビを録画するのも、一般的なことになってきました。
 Windows7ではOSをインストールし、デバイスマネージャから!が消えれば、休止状態が選択できるようになりました。またハイブリッドスリープが採用され、スタンバイで設定時間が経過すると休止状態へ移行し、電気消費力を節約できるようになりました。また安定性が増し、テレビ録画で失敗も減りました。

 さて次の問題は、BIOSと周辺機器でしょうか。
 BIOSに関しては、うまく動作しない場合、アップデートで解決できる場合も増えてきました。
 電源は ATX2.01(+5VSBが1.0A以上)に対応していれば大丈夫だと思われます。最近ではWakeOnLAN時に更に電流が必要なため、+5VSBが1.5A以上あるATX2.03に対応した電源も出てきました。現段階ではこのATX2.03対応の電源が殆どとなりましたので、これを購入されることをお勧めします。
 周辺機器もACPI完全対応を謳ったものがかなりの数となり、S3ステータスに入れる機器や、S4が動作する機器が殆どになったと思えます。

 通常、2013年現在、よほどのことがなければ、まずはSTR、休止状態は可能だと思われます。

 しかしこういうご時世でも、思いっきり「省電力機能には対応していません」と書かれている製品が存在します。IEEE1394やDVキャプチャーカード、SCSIカードの古い製品の多くに、このような傾向が見られます。
 テレビチューナーカードの普及で、ビデオデッキのようにパソコンで無人予約録画が流行し始めたため、現在STRと休止状態について皆さんの関心が高まってきたのは事実です。無人予約録画ではコントロールパネル内にあるタスク機能を使いますが、手動でSTRや休止状態が使えても、タスクを使ったSTRや休止状態の動作がうまく動かないことが結構あります。これはタスクを使った場合の動作がオプションだからです。同じメーカーのマザーボードでも製品によって動いたり動かなかったりということもあります。この辺は情報を仕入れないと難しいところです。

【以下は古い話です。Windows2000/XPの方がご覧ください!】

 もう情報が古くなってしまいましたが、Windows2000/XPをご利用の方は、「STR・STD対応機器」のページをご覧ください。そこに記載がありますが、サウンドカードでは大御所SoundBlaster Live!はLiveWare3.0以上でないとダメ。ヤマハのYMF-744/754は比較的高確率で動作します。YMF-724もそうですね。但しWindowsMeではWDMドライバというのが条件です。
 Etherカードはダメというカードを聞きません。
 SCSIカードでもACPI対応品は以前メルコ製品で見かけましたが、今は皆無です。但しWindows2000ならAdaptecのカードが対応していないと書いてありますが動作しますね。あとメルコの一部製品も動作します。しかしこれらの製品も当方でテストした場合、WindowsXPでは動作出来ませんでした。SCSIカードはWindowsXP以後ではACPIのサポート外になった模様です。
 簡単に3つの周辺機器について紹介しましたが、この3つだけでも以上のような状態のため、購入前にしっかり調査しないと、好きなパーツで組んだ寝付きの良いパソコンくんの完成にはほど遠いですね。

 Wintelからの情報不足がマザーのACPIやOnNow対応を遅らせているということで、これについてはMicrostarだけでなく他のマザーのメーカーにも言えるでしょうね。規格が完全に固まったのは98年4月のことで、既に4年以上が経過しますが、やはりまだまだ熟成されていないと言っても過言ではないでしょう。Windows2000、WindowsXPがOSとして正式に対応しましたので、ようやく対応に加速がつき始めた感じがしますが、上でも述べたように未だに一部のカードにおいては「省電力機能はサポートしません」と制約事項を発表しているケースもあります。休止状態のタブまで消してしまうなど芸が細かいメーカーもあります。困ったモノです。
 最終的にはACPI Ver1.0aでないとWindows98の電源の管理機能を全て使いこなすことが出来ません。これに対応するためにはマザーボードのFlashROMが2Mbitに対応していないといけません。ま、最近のものは対応してないものを探す方が困難になりましたけど。

 ACPI BIOSがたくさん出てきていますが、どうやらそれを使っても完全対応には至らないのが事実のようですね。PC98-NXの電源には6pinのコネクタがついています。これは3pinがOptionで使用されていませんが、あとはFANのセンサーが2pin、電源が1pinという構造です。マザーボード側の同じコネクタに接続して、ファンの回転数をコントロールしたりサスペンド時にファンを止めたりするようです。PC98-NXでサスペンド時にファンが止まるのはこれが電源、マザーボード共に採用されているからですね。

 最近の440BX以降のチップセットを搭載したマザーボードにはPowerFANという3pinが実装されるようになり、それが上記のPC-98NXのところで説明した6pinのオプション部分を取ったもののようです。現にGIGA-BYTEのGA-BX2000というマザーボードでそれを利用して、電源ファンが STR(Suspend To RAM)動作時に完全に停止しました。ASUSTekのP3B-Fでも成功しました。(後述)。その他にMSI MS-6199、SOYO SY-6BA+IVなどがこの機能に対応し、その後i815、i845と進化するにつれてほぼ完璧に実装されるようになりました。 

 でも完全準拠はなかなか難しいと思います。例えばプリンタなどはポートの電源をOFFにすると無駄な紙を1枚送りかねませんし、LANなどでもStandby状態で電源をOFFにするとサーバーからの要求に応えられなくなり、セッションを処理したとみなされてしまうこともあるでしょう。 

 2000年9月22日にWindowsMeがリリースされましたが、WindowsMeでは休止状態と、RapidBoot をサポートします。休止状態はS4ステートを Windows2000同様にサポートし、RapidBootはレガシーデバイスの読み込みをスキップし、Windows自体の起動時間を大幅に短縮します。但しこの場合はBIOSがRapidBootに対応していることが必要で、周辺機器は全てPlug&Playに対応し、レガシーデバイスが1つもないということが条件です。つまりPS/2マウスやキーボード、COMポート、パラレルポートは使わないということが前提条件です。今のところRapidBootに対応しているのはIntelとAcer のマザーボードだけみたいです。Windows98SEでSTRが動作した環境でもWindowsMeではSTRが動作しないことがかなりあるようです。サウンドカードのWDMドライバ化も大変なことで、一部メーカーは相変わらず出ていません。またSCSIは特にダメみたいです。SCSI BIOSを持たないカードで休止状態が動作したという例が当方でありました。 

 WindowsXPがリリースされて、多少状況が変わりました。S4サポートが強化され、WindowsXPが最初から収録しているドライバなら必ず動作します。最初から休止状態のタブが出てくるのが標準となりました。ACPI2.0に対応したため、BIOSや周辺機器がACPI2.0に対応していれば、休止状態への移行や復活が非常に高速になりました。 

 あとノートですが、東芝のノートは完全に対応しているようですね。LibrettoSS1010の例をご紹介します。
(撮影が下手で斜めになっていて申し訳ございません)
 あとはSONY、NECなどが対応しつつあります。

Libretto 電源の管理のプロパティ
 省電力タブ。4段階に切り替え可能。バッテリ動作予想時間が便利。意外と的中する。
Libretto 省電力モード詳細設定
 それぞれのモードにおいて、CPU等の状態、また5項目の度合いを細かく設定出来る。細かすぎて疲れる(爆) 出来れば数字で入力出来ると嬉しい。
Libretto 省電力動作設定
 動作設定画面。
 Windows2000ではOSに休止状態の機能が備わっており、一部動かない周辺機器があるもののSTRよりは動作出来る機器が格段に多いようです。SCSIカードを挿していてもSCSI HDDにもハイバネーションすることが可能なようです。

4.ACPI を Setup する

 (1)Windows98(SE) に ACPI Setup を実行する。
 AOpenのマザーボード、AX6B(古すぎますが!:笑)に実際にACPI Setupをしてみました。
 Windows98(SE) をACPI Setupする場合は、基本的にどのマザーボードでも以下のようにSetupを実行してください。自動でACPI Setupされることはありません。
 Windows98では以下のとおりにACPI Setupを行います。

(1)BIOSのPowerManagementでS3/STRが選択されているか、STRがEnabledになっていることを確認してください。これを設定してからWindowsをインストールしないと、STRが動作しないマザーボードがあるようです。(ASUSTek製マザーボードなど)
(2)OSのインストールのやり方は2通りあります。setup前だったらその1、setup後だったらその2をお試しください。なおsetup後の変更はマシンの挙動が不安定になる場合がありますので、各人の責任で行ってください。もし起動しなくなってしまった場合はクリーンインストールし直してください。その時にその1を実行します。
【その1】
 DOS Prompt 画面にして、setup /p j とタイプしてセットアップする。
 ※ setup(半角スペース)/p(半角スペース)j と半角で入力してください)
【その2】
 レジストリのバックアップを行ってから、レジストリエディタで
  HKEY_LOCAL_MACHINE\Software\Microsoft\Windows\Current Version\Detect
ACPIOption というエントリを作成し、バイナリ編集で 0000 01 00 00 00 とセットする。その上でコントロールパネルで「ハードウェアの追加」を開き、新しくシステムに追加されたハードウェアを認識させる。

 ちなみに、【その2】にあるACPIOptionというエントリをバイナリ編集で 0000 00 00 00 00 とセットすると、ハードウェア互換性リストにあるACPI BIOSだけを検出します。

 早速私もAX6B BIOS Ver1.20で試してみましたところ、ACPI BIOSはシステムデバイスに入りました。でも、雑誌に出ていたような画面になりません。まず、ACPI System Buttonはインストールしても画面に現れません。ですので電力の管理のプロパティに電源ボタンという項目が現れません。ACPIバスで使われているSCI IRQってのもありません。Composite Power Sourceもありません。またPCI IRQステアリング用ACPI IRQホルダもありません。
 しかしACPI BIOSだけは成功したのですが、こいつを入れてからデバイスマネージャを開くとやたら閉じた直後に数秒間98が固まることが増えました。で、削除できない(爆死)
 で、Windowsの終了からサスペンドというメニューも消えてしまいました。

 さて、ACPIを入れてみたけどうまくいかない!という方は、ACPIを削除してAPMに戻すことが可能です。

 レジストリエディタで
  HKEY_LOCAL_MACHINE\Software\Microsoft\Windows\Current Version\Detect
ACPIOption というエントリを変更する。バイナリ編集で 0000 02 00 00 00 とセットする。その上でコントロールパネルで「ハードウェアの追加」を開き、APMを選択することによってACPIを削除し、APM対応のデフォルトのシステムを認識する。
 なおこのエントリを削除するという方法もある。Ricohではこの方法を紹介している。
 http://www.ricoh.co.jp/chandra/clavius/acpi.html#SEC22

 以上より、AX6BのBIOS 1.20はACPIに対応していないと思います。アイオーネットに確認したところ、やはり対応していないということでした。
 その後BIOS Ver2.00a β版を手に入れましたので、引き続き試してみました。

 まず驚いたのは、BIOSの起動画面がかなり変わったということです。今までは、

 Award Modular BIOS v4.51PG, An Energy Star Ally
 Copyright (C) 1984-98, Award Software, Inc.

 AX6B R2.00a Aug.07.1998 AOpen Inc.

 PENTIUM II-MMX CPU at 300MHz
 Memory Test:131072K OK

 Award Plug and Play BIOS Extension v1.0A
 Copyright (C) 1998, Award Software, Inc.
 と表示されてからSCSI IDのチェック(下記)が表示されていました。
【追補】
 
それからAOpenのロゴが右脇に表示されるようになりました。ハッキリ言ってかなりダサイです。ですので御紹介は省略させていただきます(爆)。
 Adaptec AHA-2940 Ultra/Ultra W BIOS V1.23
 (c) 1996 Adaptec, Inc. All Rights Reserved.

 Press <Ctrl><A> for SCSISelect(TM) Utility!

 SCSI ID:LUN NUMBER #:# 0:0−IBM DDRS-34560W−Drive D:(81h)
 SCSI ID:LUN NUMBER #:# 4:0−PLEXTOR CD-ROM PX-20TS
 SCSI ID:LUN NUMBER #:# 5:0−FUJITSU M2513A
 SCSI ID:LUN NUMBER #:# 6:0−EPSON SCANNER GT-9500

 SCSI BIOS Installed!

 それが、SCSI IDチェック画面まで一画面で表示されるようになりました。

 Award Modular BIOS v4.51PG, An Energy Star Ally
 Copyright (C) 1984-98, Award Software, Inc.

 AX6B R2.00a Aug.07.1998 AOpen Inc.

 PENTIUM II-MMX CPU at 300MHz
 Memory Test:131072K OK

 Award Plug and Play BIOS Extension v1.0A
 Copyright (C) 1998, Award Software, Inc.

 Adaptec AHA-2940 Ultra/Ultra W BIOS V1.23
 (c) 1996 Adaptec, Inc. All Rights Reserved.

 Press <Ctrl><A> for SCSISelect(TM) Utility!

 SCSI ID:LUN NUMBER #:# 0:0−IBM DDRS-34560W−Drive D:(81h)
 SCSI ID:LUN NUMBER #:# 4:0−PLEXTOR CD-ROM PX-20TS
 SCSI ID:LUN NUMBER #:# 5:0−FUJITSU M2513A
 SCSI ID:LUN NUMBER #:# 6:0−EPSON SCANNER GT-9500

 SCSI BIOS Installed!
【追補】
 その後 Ver2.00bβから以前同様SCSI IDチェックは画面が切り替わるようになりました。BIOS Ver2.00aβにあった電圧の監視の項目は、その後削除されてしまいました。どうやら変更が出来ない設計だったようです。
 その代わりに前述のセンスのない(?)AOpenロゴが起動に出るようになりました。
【OSの設定】
(3)次は、コントロールパネルの「電源の管理」の様子です。
電源設定
1.まず電源設定を行います。最初に「電源設定」タブの設定方法を紹介します。
 電源設定はどれでもSTR動作するはずなのですが、うまくいかない場合は[ポータブル/ラップトップ]を選択するとうまく動作したことがありました。また当方では冗談に近いのですが、どれでもうまくいかなかった時に[STR]という名前をつけて保存して選択したら動作したことがありました(大爆笑)。
システムスタンバイの設定
2.「システムスタンバイ」、「モニタの電源を切る」、「ハードディスクの電源を切る」へ移行する時間を選択します。画面では「システムスタンバイ」のところの選択肢を表示しましたが、どの項目も同じように時間の選択肢が表示出来ます。
 ここでコツがあります。それは・・・・
 モニタの電源を切る<ハードディスクの電源を切る<システムスタンバイ
という不等式になるように時間を設定することです。システムスタンバイの時間を一番多くしないとうまくいかないことが多いようです。
電源ボタンの設定
3.次に「詳細」タブの設定方法を紹介します。
 右隣の「休止状態」タブにある「休止状態をサポートする」にチェックを入れると、電源ボタンにも「休止状態」が追加されます。(下の画面を御覧ください)
 休止状態とはS4ステートのハイバネーション(ハードディスクに現在の作業状態を書き込み、電源をオフにする)のことです。なおWindows98の休止状態ですが、AOpenの一部のマザーボードとATI 3D RAGE Proの組み合わせでしか動作確認報告がありませんが(笑)。
 BIOSでもこれまでPower Management内にあったSuspend Mode Optionという項目が廃止されています。多分添付のユーティリティ(aozvhdd.exe)をインストールして、休止状態を選べば機能するものだと思います。当方は絶対動作しないと言うAdaptec AHA-2940UWを使用しているので、休止状態を試したところ確かに画面はサスペンドに入りましたが、内容を HDD に書き込む気配はありませんでしたし、復帰出来ませんでした。
【追補】AX6Bの場合、ACPI BIOS Ver2.20になってようやく動作しているようです。

【追補】Windows2000/XPの場合、OS自体が休止状態をサポートしていますので、動的に記憶領域を作成したり削除してくれますのでかなりの確率で動作するようになりました。WindowsMeでも動作しますが、かなり条件は厳しいです。

【追補】i815(E)チップセットの場合、ここの詳細が少し変わってくるようです。AbitのSL6、SONYのVAIOで確認しましたが、「コンピュータの電源ボタンを押した時」の他に「コンピュータのスリープボタンを押した時」が追加されています。VAIOやSL6ではSleepボタンを追加出来ますので、ここで設定すればそのとおりの動作をします。
 但しSL6でSleepLEDというコネクタも用意されていたため繋いでみましたが、点灯すらしませんでした。BIOSの熟成がまだだと思います。
休止状態の設定
4.これがACPI Setupによって新たに追加されたタブ。ハイバネーションを使用するかどうかを設定します。
システムデバイス一覧
5.ACPIをsetupした後のシステムデバイスで変更があった部分です。困ったのは、ACPIをsetupすると IRQを1個消費することです。おかげでAudioPCIのLegacy Devic がIRQを取得出来なくなり、これを使わない設定にせざるを得なくなったことです。殆ど被害はないですが・・・・その後Ver2.30ではこの問題が回避されています。
 (2)Windows2000 に ACPI Setup を行う。
(1)BIOSのPowerManagementでS3/STRが選択されているか、STRがEnabledになっていることを確認してください。これを設定してからWindowsをインストールしないと、STRが動作しないマザーボードがあるようです。(ASUSTek製マザーボードなど)
(2)Windows2000では3通りのACPI Setupのやり方があります。
 以下に3通りを記しますので、お試しください。
 setup前でしたらその1その2、setup後でしたらその3となります。
【その1】
 Windows2000のインストーラーが起動した直後にSetup is inspecting...というメッセージが出ます。そこで[F・5]キーを何回か押すと、ACPIのシステムタイプを選択する画面が現れます。タイミング的にはちょっと難しいです。失敗したらリセットして format c: /q コマンドでCドライブをクイックフォーマットして再挑戦しましょう!(笑)
【その2】
 Windows2000 CD-ROMのi386フォルダに Txtsetup.sif というテキストファイルがあるので、そこのACPIOptionsという項目を以下のように書き換えます。なおこの場合は、CD-ROMの内容をHDDに移動してインストールすることになります。
[ACPIOptions]
ACPIEnable = 1
ACPIBiosDate = 01,01,199

 デフォルトではACPIEnableの値が2になっています。これを1にすることで、強制的にACPIモードでインストールします。但しこの場合マシンによってはWindows2000が起動出来なくなりますので、各人の責任で行ってください。
【その3】
 ACPI対応マシンなのに、インストールしてみたらACPI対応になっていなかった!なんて場合には、次の方法でACPIに設定してみましょう。
Win2k_デバイスマネージャ_コンピュータ
1.[コントロールパネル]→[システム]→[ハードウェア]→[デバイスマネージャ]で上記の画面になりますので、コンピュータをダブルクリックします。
Win2k_デバイスマネージャ_コンピュータの種類
2.ツリーにある[コンピューター]をダブルクリックすると上記のように表示されるので、表示されたコンピュータ名(ここに出ているのは正解です。違う名前が出てくるはずです。)を右クリックして[プロパティ]を選択する。
Win2k_PCのプロパティ
3.上記の画面になるので、[ドライバ]タブで[ドライバの更新]をクリックする。
Win2k_デバイスドライバアップグレードウィザード
4.デバイスドライバのアップグレードウィザードになるので、[次へ]をクリック。
Win2k_ハードウェアデバイスドライバのインストール
5.上記の画面が出るので、[このデバイスの既知のドライバを表示して、その一覧から選択する]を選択して[次へ]をクリック。
Win2k_デバイスドライバの選択
6.上記の画面になるが、最初は「互換性のあるハードウェアを表示」にチェックがついていて、モデルは殆ど出ていないはずである。そこで、最初に左側下の[このデバイスクラスのハードウェアをすべて表示]を選択する。次に画面表示が切り替わって上記のようになるので、[モデル]から[ACPI (Advanced Configuration and Power Interface) PC]を選択して[次へ]をクリック。
7.この後[ドライバの更新警告]が出るので、[はい]を選択する。
8.ドライバのインストールが終了したら再起動する。
 但しこの場合マシンによってはWindows2000が起動出来なくなるので、各人の責任で行ってください。
【OSの設定】
(3)続けて[コントロールパネル]→[電源オプション]の設定を行います。
Win2k_コントロールパネル
1.[電源オプション]をダブルクリックします。
Win2k_電源オプションのプロパティ電源設定1
2.「電源設定」タブの詳細設定についてご紹介します。
 まず、電源設定で種類を選択します。
 電源設定はどれでもSTR動作するはずなのですが、うまくいかない場合は[ポータブル/ラップトップ]を選択するとうまく動作したことがありました。[プレゼンテーション]は一切ACPI動作しない設定なので、本当にプレゼンするとかデフラグするとか以外の用途では選択しない方が良いでしょう。
Win2k_電源オプションのプロパティ電源設定2
3. 「モニタの電源を切る」、「ハードディスクの電源を切る」、「システムスタンバイ」、「システム休止状態(休止状態タブで設定した場合のみ出る)」へ移行する時間を選択します。
 Windows98と順番が違っているところが面白いです。理由は不明です。
 なおここで「システムスタンバイ」が表示されない場合、S1やS3(STR)動作を阻害する周辺機器やドライバを使用しているということになりますので、御確認ください。
 画面では「モニタの電源を切る」のところの選択肢を表示しましたが、どの項目も同じように時間の選択肢が表示出来ます。
 ここでコツがあります。それは・・・・
 モニタの電源を切る<ハードディスクの電源を切る<システムスタンバイ
という不等式になるように時間を設定することです。システムスタンバイの時間を一番多くしないとうまくいかないことが多いようです。
Win2k_電源オプションのプロパティ詳細1
4.次に「詳細」タブの設定方法を紹介します。
 最初に、オプションと電源ボタンの設定を行います。MTVシリーズなどでテレビの予約録画をされる方は、「スタンバイ状態から回復するときにパスワードの入力を求める」のチェックはしないでください。
Win2k_電源オプションのプロパティ詳細2
5.電源ボタンの設定について。通常ACPI PCでは「スタンバイ」を選択します。ちょっと押すとSTRに移行し、4秒以上押すと強制シャットダウンになります。
 右隣の「休止状態」タブにある「休止状態をサポートする」にチェックを入れると、電源ボタンにも「休止状態」が追加されます。(下の画面を御覧ください)
 休止状態とはS4ステートのハイバネーション(ハードディスクに現在の作業状態を書き込み、電源をオフにする)のことです。なおWindows2000の休止状態は、一部のWindows98マザーに添付されていた実行形式ファイルで実行する方法ではないようで、OSの機能としてhiberfil.sysが作成される方法で実行されます。
Win2k_電源オプションのプロパティ休止状態
6.「休止状態」タブでチェックをつけると、休止状態が使用可能になります。
Win2k_電源オプションのプロパティUPS
7.UPSの設定が可能です。基本的にはUPSをシリアルポート経由で接続すると、[構成]ボタンが使用可能になり、[選択]ボタンで設定可能になります。が、私が使っているOMRONの製品は、ここを使用せずUPSプログラムから設定する方式でした。詳細は製品のマニュアルを御覧いただくか、その製品のサポートセンターへお問い合わせください。
 さて、ポップさんのWindows98環境では、レジストリ書き換えによるACPI Setupを行ったところ、CPU占有率が高くなったり、動作が緩慢になる等の障害が出たようです。 setup /p j でやり直したら問題が出なかったようです。あとCL3のメモリを2T設定すると「あんたのメモリはCL3だぞ!」とBIOS起動画面で律儀に教えてくれるそうですね。
 (3) WindowsMe に ACPI Setup を行う。
 Windows2000より新しい(笑)OSであるWindowsMeでは、1999年1月1日以後のBIOSであれば自動でACPI Setupを行います。もうここまで来たら、APMにする必要はないでしょう。
 OSの設定は、Windows98を参考にしてください。
 (4) WindowsXP, Vista、7 に ACPI Setup を行う。
 自動でACPIでセットアップされます。
 OSの設定は、Windows2000を参考にしてください。

★スタンバイや休止状態ができない場合★
 以下をチェックしてください。

1.グラフィックスドライバを最新版にする。

2.サウンドドライバを最新版にする。

3.LANのドライバを最新版にする。

4.「電源オプション」→「プラン設定の変更」→「詳細な電源設定の変更」→「マルチメディアの設定」→「メディアを共有するタイミング」で「コンピュータのスリープを許可する」になっているかどうかを確認する。

5.コマンドプロンプトで powercfg /a と入力し、休止状態が使えるかどうかを確認する。
 可能な場合、powercfg /hibernate on と入力すれば使えるようになる。
 (管理者モードで実行すること)

6.ハイブリッドスリープがONだと、メニューに「休止状態」が出て来ません。そちらも確認してください。

★勝手に復帰しちゃう場合の対処例★
1.イーサネットドライバの「電源の管理」タブにて、WakeOnLANの設定をMagicPacketのみにするか、Disabledにしてください。

2.イベントビューアで原因を調べよう!
・「スタート」→「管理ツール」→「イベントビューア」
・左ペイン「Windowsログ」→「システム」と進み、右ペインの「現在のログをフィルター」
・ログの日付で、任意の時間を指定する。
・イベントソースに "Power-Troubleshooter" を指定する。
・勝手に復帰した時間帯の項目をチェックする。

3.Windows Updateで何か強制解除されているかも?

4.Google Toolbarの現在のタスク設定「トリガー」を見直す。

5.我が家ではTVRockの再設定で直ったこともあった。
 (5) BIOS Setupでの注意
 主にBIOSのPower Management Setupという項目で、ACPIに関係する設定を行います。
 ここではGIGABYTE GA-8PE667Ultra2のBIOSで、主な項目を解説します。
●ACPI Suspend Type
・S1(POS)
・S3(STR)
 以上の2つを選択出来る。通常はS3(STR)を選択し、Suspend To RAMが出来るようにしておくと良いだろう。
●PowerLED in S1 State
・Blinking
・Dual/OFF
 S1ステートメントにおけるPowerLEDの動作方法を変更できる。BlinkingにするとS1時にPowerLEDが点滅し、Dual/OFFにするとDualColorLEDの場合はPowerOnと違う色に点灯し、未対応LEDの場合はPowerLEDが消灯する。InWin社のケースだとDualColorLEDが搭載されていることが多い。
●Soft-Off by PWR-BTTN
・Instant-off
・Delay 4 Sec.
 2種類から選択出来る。Instant-offは押すとすぐ電源が切れる。Deley 4 Sec.だと4秒パワースイッチを押すと電源が切れ、3秒以内だとS1かS3か設定した方に移行する。私は後者にしている。
●PME Event Wake Up
・Disabled
・Enabled
 WakeUpイベントの無効(Disalbed)と有効(Enabled)。通常はEnabledにする。
●Modem Ring On/WakeOnLAN
・Disabled
・Enabled
 タイトルのとおり。使うのであればEnabledにする。使わない場合はDisalbedにしておいた方が良い。
●Resume by Alarm
・Disalbed
・Enabled
 日付や時間等を指定して、マシンを復帰させる機能。使うのならEnabledにして毎日、日付、時間を指定する。
●PowerOn By Mouse
・Disalbed
・Enabled
 マウスで電源をONに出来るかどうかを指定する。
●PowerOn By Keyboard
・Disalbed
・Enabled
 キーボードで電源をONに出来るかどうかを指定する。
●KB PowerOn Password
 キーボードパワーオンする際のパスワードを設定する。
●AC Back Function
・Memory
・Soft-Off
・Full-On
 突然電源断等でシステムが落ちた後に電源が復帰した場合の動作を指定する。Memoryの場合は指定したステータスによっては電源が入る。Soft-Offの場合は手動でパワースイッチを押さない限り電源オフ。Full-Onの場合はすぐ電源が入る。
 最新のマザー ASUSTek P8Z77-V Deluxeでは、ACPIの設定がBIOSにないですわ(笑)
 もう自動なんですね。

5.ACPI Suspend To DISK動作失敗例

◆AX6B BIOS R2.30+ATI 3D RAGE Pro Turbo+AudioPCI+3C905B-TX-J

 Suspend To DISKのあのバーが拝めない! スタンバイしちゃうんです(なみだ) 3D RAGE Pro でもTurboじゃダメらしいです(怒) 今となっては入手困難でテスト出来ません。
 これからはWindows2000を使えば、かなりの確率でSTD(休止状態)出来ますからね。

 AOpenのi815E搭載マザーボードAX3S Proでは、PowerManagementのACPIの項目にS4が相変わらずあるようです。(笑) Windows98専用になりそうですが。

 ま、もう不要な機能ですね。これからはOSの休止状態で出来ますし、その方が遙かに高速ですし。

6.周辺機器別ACPI対応機器のご紹介

 Windows2000以後で「休止状態」が正式サポートされることになったので、今後対応は進んで行くものと思われます。但しタスクを使った休止状態からの復帰についてはオプションのため、「STRへの対応方法」のページでも説明していますが、出来ないマザーボードが存在します。
 ACPI対応機器で当方が確認及び情報を仕入れている製品は、以下の通りです。古い製品がメインになってしまいましたが(笑)。
 これ以外については、「STR・STD対応機器」のページを御覧ください。
ビデオカード メルコ Permedia2 搭載製品 パッケージにACPI対応と記載してある。もう新品では売っていない。
各社 RIVATNT2 搭載製品 Canopusによると、動かないマザーボードもあるらしい。SPECTRA5400以後で対応しているようだ。
ATI 3D RAGE Pro AOpenがACPI Suspend To DISK可能と公表しているカード。
3D RAGE Pro Turbo GIGA-BYTEのマザーボードでSTRに成功した方がいらっしゃる。
Ether カード メルコ 10/100Base 対応カード WakeOnLANも可能。WakeOnManager添付。
3COM 3C905B-J-TX メーカーからの回答によるとACPI対応。WakeOnLANは可能。
3C905-TX STR動作可能リストにあります。
Intel Pro/100+ STR可能。
Planex FNW-9800-T ACPI、WakeOnLAN共に対応。但し我が家では動作不良でテスト出来ず。
SCSI カード Adaptec AHA-2940U2W メーカーからの回答によると、最初はWindows98上でACPI 対応だが、スタンバイが出来ないこともあるという回答だったが、最近になってACPI未対応という回答に変わった。Windows2000では問題なくSTRが動作する。
ラトックシステム 最近発売された SCSI カード 対応を明記、但しWindows98が対応していないため使用不可というメーカーの回答をいただいている。